故人への最後の贈り物。葬式で心を込めて送り出すってどういうことなのか

介護の基礎知識
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訪問介護士として働きながら、介護・老後・終活について発信しています。

母を孤独死で亡くしたことをきっかけに、「もっと早く知っていれば」と思うことがたくさんありました。同じ思いをする人を減らしたくて、このサイトを始めました。

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この記事でわかること
– 葬式という儀式が遺族にもたらす心理的な意味
– 故人らしい葬式を作ることの大切さ
– 葬式で後悔しないための準備とは
– 親の孤独死を経験した立場から考える「見送ること」の重要性
– 施設入居者と在宅介護者の葬式の違い
– 限られた予算でも心のこもった葬式を実現する方法

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葬式で涙が出る本当の理由

YouTubeで話題になっていた「故人が生前好きだったダンスを葬式で踊る」という話を見かけました。泣きながらナルトダンスをする…一見すると不謹慎に思える行為ですよね。でも訪問介護の仕事をしていて、いろんな最期を見送ってきた立場から言わせてもらうと、これって実は大事なことなんです。

50代半ばになると、親の最期と向き合う時期が必ず来ます。私は母を孤独死させてしまいました。その時に心底感じたのは「あの時にもっと何かしてあげたら」という後悔です。では、葬式ってなぜこんなに私たちの心に残るのでしょうか。

それは葬式が単なる儀式ではなく、故人とのお別れをする最後の機会だからなんです。泣きながらダンスをする人の気持ちって、実は「あなたが好きだったことを忘れていません」というメッセージなんですよ。その人の人生を、その人らしく締めくくるための儀式。それが葬式の本質だと思うんです。

介護の現場で見た「後悔しない葬式」と「後悔する葬式」

グループホームに勤めていた時代、訪問介護に転向した今も、いろんなご家族が葬式を迎えます。その時に感じるのは、遺族の満足度に大きな差があるということ。

後悔しない葬式って、どういう特徴があるのか。それは故人らしさが詰まっているんです。

あるご家族は「母がいつも口ずさんでいた演歌を流して欲しい」とお願いしました。別の家族は「お父さんが好きだったから」と、故人が大好きだった野球チームの色で祭壇を飾りました。また別の方は「生前、孫とよく映画を見に行ったから、一緒に好きな映画のシーンを流しながら」と工夫してくれた方もいます。

一方で、後悔する葬式というのは、形式的すぎるケースが多い。葬儀社の提案を丸呑みして、故人らしさがまったく反映されていない。だから遺族が心の底から故人を見送った実感が持てないんです。

私の母の時も、そうでした。母は音楽が好きでした。でも葬式では、その好みが全く反映されていなかった。後悔の一つはそこにあります。葬式だからこうあるべき、という枠を外すと、もっと素敵な見送り方があったんじゃないか。そう思うんです。

故人への弔い方は、その人の人生観を表す

「生前好きだったダンスを踊る」という行為に、不謹慎だという声が上がるのは理解できます。でも、本来的には故人を弔うってそういうことじゃないでしょうか。

遺族が泣きながら故人が好きだったことをやる。それは「あなたの人生を尊重していますよ」というメッセージなんです。形式的な作法よりも、その人を思う気持ちが前に出ている。

訪問介護の仕事をしていると、在宅で最期を迎える方と、施設で迎える方の違いをよく見ます。在宅で息を引き取った方の場合、ご家族はその時間をずっと思い出す。なぜなら、自分たちがその人のために何かしてあげられたという実感があるから。施設の場合は、職員が対応することが多いので、遺族は「お任せした」という状況になる。

どちらが悪いとは言いません。でも、葬式はその最期の時間を、もう一度家族で作り直す機会なんです。ダンスをする、好きな歌を歌う、好きな食べ物をお供えする。そういった行為を通じて「私たちはあなたのことを大切だと思っていました」という感情が形になるんですよ。

限られた予算の中で、心のこもった葬式を作る

50代で気になるのがお金の問題です。自分の老後資金も心配な世代が、親の葬式にいくら使うか。これは悩ましい問題ですよね。

世間的には「葬式って100万円かかる」みたいなイメージを持ってる人が多いですが、実はそんなことはありません。私が見てきた葬式の中には、30万円以下で行われたものもあります。むしろ大切なのは、その予算の中で何をするか、という工夫です。

例えば、祭壇を華やかにするなら花をたくさん使う必要はなく、故人が好きだった色のリボンを使うとか。食事も豪華である必要はなく、故人が好きだった郷土料理を用意するとか。そういう工夫で、心のこもった葬式になります。

最近は家族葬を選ぶ人も増えています。訪問介護で関わるご家族も、仕事が忙しいから小規模で、という理由で家族葬を選ぶ方が多いです。むしろ家族葬の方が、故人らしさを表現しやすいと思いますよ。親友だけを呼んで、故人の思い出話をたくさんする。仕事の関係者だけを呼んで、故人の仕事ぶりを称える。そういう選択ができるんです。

自分たちが後悔しないために、今からできることって何か

母を孤独死させた経験から言えるのは、後悔は葬式の時点ではもう遅いということです。後悔しないためにやるべきことは、生きている間にあるんです。

でも同時に、葬式は遺族が気持ちの整理をするための儀式として、すごく大事な役割がある。だから葬式の時に「この人はこういう人が好きでした」「こういう人生を歩みました」ということを表現することって、遺族の心の区切りになるんですよ。

故人が好きだったダンスを踊る人の気持ちって、これに通じると思うんです。形式よりも、その人を思う気持ちを優先させる。そういう勇気を持つことって、実は故人に対する最大の敬意なんじゃないでしょうか。

自分たちが後悔しないためには、今から親の好きなことをもっと知ること。親がどんな人生を歩みたいと思っているのか、聞いておくこと。そして、もし親が先に逝ったとしたら、その人らしい葬式をしてあげるという覚悟を持つこと。それじゃないでしょうか。

施設入居者と在宅介護者、葬式の迎え方の違い

訪問介護をしていると、施設に入居されている方と、在宅で介護を受けている方の両方と関わります。葬式を迎える時の家族の心理状態って、実は入居形態によって違うんです。

施設入居の場合、遺族は「良い施設を選んであげた」「プロの手で看取ってもらった」という安心感を持つことが多い。だから葬式は「社会的義務」としての性質が強くなる傾向があります。

一方、在宅介護の場合は、家族が介護に関わっているので、葬式は「この人の人生の最後の部分を、自分たちで支えました」という実感を込めやすいんです。だから、より故人らしい葬式にしたいという希望が強く出ることが多い。

ただ、これは一長一短があります。施設入居でも、施設スタッフが故人との関わりを家族に伝えることで、家族が故人らしさを理解することもできます。反対に在宅介護でも、介護負担が大きすぎて、葬式まで気力が残っていないご家族もいるんです。

大事なのは、どちらの形態を選んだとしても「この人の人生を、最後に自分たちのやり方で表現する」という選択肢を持つことだと思うんです。

よくある質問

Q1:葬式で故人が好きだったことをやるって、親戚から反対されたらどうすればいい?

A:難しい質問ですね。でも私の経験から言えば、故人がどう思うかが一番大事です。親戚の意見も大事ですが、故人を一番知っているのは誰か。そこから考え直してみてください。事前に親戚に「お父さんはこれが好きでした」と丁寧に説明すると、理解が得られることも多いですよ。

Q2:予算が限られている場合、どこにお金をかけるべき?

A:祭壇と食事です。祭壇は故人のイメージを作る重要な要素ですし、食事は親戚が集う時間を作ります。この2つにお金をかけて、その他は簡潔にするというやり方がいいと思います。

Q3:家族葬でも、故人らしさを表現できる?

A:むしろ家族葬の方がやりやすいです。人数が少ないので、親友だけとか、仕事仲間だけとか、グループごとに違う時間を作ることもできます。

Q4:遠方にいて、葬式の準備に関われない場合は?

A:葬儀社に「故人はこういう人でした」という情報を伝えることが大事です。好きな食べ物、好きな色、好きな音楽。そういう細かい情報があれば、葬儀社も工夫してくれることが多いですよ。

Q5:生前に葬式について親と話すのって、失礼じゃない?

A:むしろそうじゃないんです。私の母の場合、葬式について話し合っていたら、もっと母らしい送り方ができたはずなんです。「元気な今だからこそ、こういう送り方がいいですか?」と聞いておくことが、実は最大の親孝行だと思います。

後悔しない葬式の準備は、今から始まっている

母を孤独死させた時、私が最も後悔したのは「あの人がどんな人生を歩みたかったのか、もっと聞いておけばよかった」ということです。だから遺族として葬式を迎える時は、故人がどう思うかを想像することしかできませんでした。

50代という世代は、親の最期と自分の老後が同時進行する時期です。親の葬式を通じて、自分たちはどういう人生を歩みたいのか、そして誰かに見送ってもらう時は、どういう見送り方をしてほしいのか。そこまで考える機会になるんですよ。

故人が生前好きだったダンスを、泣きながら踊る家族。それは形式的には不謹慎かもしれません。でも本質的には「あなたのことを忘れていません」「あなたの人生を大切だと思っていました」という最高のメッセージなんです。

葬式は故人を見送る儀式ですが、同時に遺族が心を整理し、その後の人生へ向かっていくための区切りなんです。だからこそ、その時間を大事にしてほしい。自分たちのやり方で、故人らしく、心のこもった見送り方をしてあげてほしい。

親が健康なうちに、「どんな人生だった?」「どう見送ってほしい?」という会話をしておくことが、本当の意味で後悔しない葬式につながるんだと思います。


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